平成は日本にとっては戦争のない時代でした。世界情勢は決して楽観視できるものではないですが、令和もそうなることを切に願います。
さて、昭和の戦争のころは今のようにスマホやネットなんて便利なものはありません。何かを送る時は手紙です。軍の手紙の数を把握するために、軍事用切手は使われていました、つまりは一般大衆向けの切手ではないんです。そのためその時代の人でも見たことのある人は少数です。
そんな軍事切手。どれほどの値打ちがあるのでしょうか。いくらくらいで買取してもらえるのでしょうか。
軍事切手のこと
まずは軍事切手の基本的なことを学んでおきましょう。最初にも書きましたが軍事切手は軍の手紙の管理のために使われていた、軍専用の切手です。ところが、財政的にも時間的にも足りなくて、諸外国のように専用の切手を作ることは出来ませんでした。そのため、その当時に流通していた切手に「軍事」とハンコを押したものを使用していました。使用されていた期間は1910年~1944年と結構長い間使われています。ただ、その間にも通常切手も入れ替わっていますので、同様にずっと同じ切手ではなく、通常切手に合わせて軍事切手も絵柄は変わっています。最初から最後まで専用の切手は作られずに終わりました。
余談ですが、大日本帝国軍では下士官という階級の人に毎月2枚無料で支給されていたそうです。
とはいえ、実際に作られた枚数も流通も限りがあり多くないため希少性がかなり高いものになっています。
軍事切手の種類と金額
軍事切手というよりもその当時に発行されていた切手なのですが、時期によってものが変わります。それによって金額も違ってくるので、順番にご紹介したいと思います。
その前に、軍事切手ではよく「Ⅰ型」「Ⅱ型」と呼ばれるものが出てきます。これは切手に押された「軍事」の印で分けられていて、Ⅰ型の方が「軍」と「事」の間が広く、Ⅱ型の方が狭いものです。その差2mm。軍事切手の前半がⅠ型で後半がⅡ型です。
一番最初の軍事切手は「菊切手加刷軍事切手」です。これはⅠ型のみ存在します。1910年から1914年まで使われた切手で、その当時の菊切手に軍事の判が押されています。切手の額面は3銭です。一番古い軍事切手ですのできれいな状態で残っているものはかなり少ないため、もしもきれいな状態のものが見つかれば1万円以上も期待できます。劣化のレベルにもよりますが、4000円から8000円くらいの値段はいけそうです。とにかく貴重な1枚です。
次に発行されたのは「大正白紙軍事切手」です。このへんから名前やら何やら少しややこしくなるのでご注意ください。この大正白紙軍事切手ですが、厳密には3種類あって、ただその違いがちょっぴり大きさが違うのっていう素人目にはまずわからないものなので、説明ができない。なので細かくは申し訳ないですが、プロに見てもらってください。こちらも希少性が高く、特に正方形のものが最も高値が付きます。使用済みのものでも状態が良ければ1万円程度の値段も期待できます。
次に紹介するのは「旧大正毛紙加刷軍事切手」です。名前が混乱しそうですね。旧ってことはこの後当然、新も出てきます。1914年に発行されたⅠ型と1924年に発行されたⅡ型の両方が存在していて、どちらかといえばⅡ型の方が価値は高いと言われています。Ⅰ型が1000円前後でⅡ型3000円前後といったところです。ただ、Ⅰ型の正方形だけは別で場合によっては3万円近い値段になる場合があります。ただ、これも形を見分けるのは難しいので素人判断は危険です。なんたって細かく7種類もあるんですから。
さて旧が出たので次は「新大正毛紙加刷軍事切手」です。1928年と1933年の2回発行され、いずれもⅡ型です。これが4種類あるのですが、どれも価値が高く軍事切手の中では一番期待できるものです。状態によって差はありますが、ある程度の品質を保っていれば3000円は確実です。その中でも3銭の軍事の字の間が1mmのものはきれいなものであれば4万円は軽く超えます。3銭が4万円…。すごい金額です。
そしてこの4万円を更に超えてくるのが「青島軍事切手」です。山東半島の青島局で臨時で急遽作られた軍事切手なので、元々の発行枚数が極端に少なく、現存するものは更に少ないということで値段が跳ね上がっています。某鑑定番組に出られるレベルの代物です。本物なら10万円はします。
軍事切手の鑑定と買取と注意点
一般には流通していない切手ですので、手元にあるのであればコレクターさんじゃない場合は状態の一番いい今売ってしまうのが一番値段が付きます。劣化すればするほど価格は落ちますので。そして、いくつか書きましたがとても素人目では見分けがつかない細かい差異で値段が変わってきます。ですので信頼できるきちんとしたプロのいるところで査定してもらうのが一番です。有名なのは「福ちゃん」「バイセル」でしょう。買取実績も高く、満足度も高い業者さんです。買取実績が多いということはそれだけの値段での買取をしてくれるということです。安心しておまかせしましょう。あと、大手は査定までのスピードが早いので、そういう意味でもお願いしやすいです。
ただ、注意しないといけないのは、偽物の多いことです。古い切手はそれだけで価値がありますが、軍事切手はそこに軍事の文字が入るだけで大きな違いが出てきます。それ故偽物も数多く出回っているのが現状です。だから素人で判断するのは危険なのです。手元にあるものが本物なのかどうかを確認するためにも、プロに判断してもらうことが大切です。
軍事切手を買取り業者に見積もりしてもらおう まとめ
専用の切手が作られなかったからこそ値打ちのあるものになった軍事切手。なかなかタンスの奥底から出てくることはないと思いますが、もし万が一出てきたときには、ぜひ本物かどうか見てもらってください。そして本物だったのなら、納得の行く価格で買いっ取ってくれるところに委ねてください。とても貴重な歴史と価値のあるものです。無駄にすることだけは避けたいです。不要なら然るべきところに引き取ってもらいましょう。じゃないともったいないですからね。